白雪姫の惚れ薬



掌に乗ったリンゴを見る。


これは、信じるべき?

騙されたと思って試してみるべき?

で、あとで笑い話にする?


……って言うか、逆に姉ちゃんに“笑い者”にされそうな気がする。

でも、姉ちゃんがマジだったら、それはそれでなんか悪いって言うか……


あれで、あの人は結構傷つきやすいからなぁ。

仮にも、俺のために頑張ってくれたわけだし?

試さなかったら怒るだろうし、捨てたら…さすがにバレるよなぁ。


あ、猫のミーにでも…って食べないか。



うーん……



ひとり悩んでいると……


「芯!ちょっと来て~!」


キッチンから母さんの声。


「なに?」

「いいから、早く!」


叫んでるし。

とりあえず、また後で考えよう。




リンゴを机の上に置いて、俺は部屋を出た。


< 23 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop