白雪姫の惚れ薬
掌に乗ったリンゴを見る。
これは、信じるべき?
騙されたと思って試してみるべき?
で、あとで笑い話にする?
……って言うか、逆に姉ちゃんに“笑い者”にされそうな気がする。
でも、姉ちゃんがマジだったら、それはそれでなんか悪いって言うか……
あれで、あの人は結構傷つきやすいからなぁ。
仮にも、俺のために頑張ってくれたわけだし?
試さなかったら怒るだろうし、捨てたら…さすがにバレるよなぁ。
あ、猫のミーにでも…って食べないか。
うーん……
ひとり悩んでいると……
「芯!ちょっと来て~!」
キッチンから母さんの声。
「なに?」
「いいから、早く!」
叫んでるし。
とりあえず、また後で考えよう。
リンゴを机の上に置いて、俺は部屋を出た。