白雪姫の惚れ薬



とにかく、

りこちゃんの言う通りにして、うまくいった試しはない。

むしろ、すべてが裏目に出ていた気がする……


だから、今回だって……


「りこちゃん、いくら芯ちゃんでも、そんな話信じないって」


意見してみたものの、


「いやいや、今度は絶対に大丈夫!」


りこちゃんは譲らない。


「何だかんだ言ったって、芯は朱李ちゃんのことが好きなんだから。もう、さっさとくっついちゃいなさい!」


……絶対に、勘違いだよ。


芯ちゃんが私を好きなはずはない。

だから、その時点でこの“計画”は成り立たない。


芯ちゃんは、私にキスなんてしないよ。

する意味がないもん。

“惚れ薬”を使う意味がない。


別に、彼女がほしいだけなら、相手なんていくらでもいるだろうし、

何も私である必要はない。


りこちゃんの話の真偽を確かめたい、って思ったとしても、キスする必要なんてなくて……

揺さぶって起こせばいいんだもんね。


って言うか、それ以前に、

起こす必要…なくない?




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