白雪姫の惚れ薬
「お姉ちゃんは何でも知ってるのよ。」
あせりまくる俺に、にっと、意味深な笑みを浮かべると、
「さあさあ、さっさと行ってきて!」
無理やり玄関の外に押しやった。
「あ、リンゴはもちろん、赤いやつね!」
頷きながらも、俺の頭の中は混乱中。
なんでバレてるわけ?
俺ってそんなにわかりやすい?
確かに、朱李はしょっちゅう我が家に出入りしてるよ。
……っていうか、毎日現れるよ。
俺の態度を見てればわかる…ってやつ?
でもさ、姉ちゃんはほとんど家に帰ってこないんだよ?
顔を合わせることすら稀なのに、俺が朱李といるとこなんて見たことないじゃん。
……ん?待てよ。
さっき“長年の”って言ったよな?
まさか……
子供のときから、ずっと……?
うわぁ……
知ってて黙って見てたんだ?
絶対に、楽しんでいたに違いない。
……全く相手にされていない、俺の姿を。