白雪姫の惚れ薬
「靴のサイズが同じ人なんて、世の中にたくさんいるじゃない?」
とか。
「眠ってたって、年はとるでしょ?」
とか。
「月に、人間は住めないんだよ?」
とか…言い出したら、キリがない。
5才かそこらの俺が、
「それは、つくり話だから…」
なんて、フォローを入れたんだよ、確か。
当時から、姉ちゃんの探求心と行動力はすさまじかった。
すぐさま、大学の研究室にいるじいちゃんに電話をかけ、真相を確かめる。
それでも納得できなければ、父さんの勤める研究所にひとっ走り。
もちろん、そうなったときには、すでに俺の存在を忘れているわけで……
正直、
その頃から、俺はついて行けてなかった……
でも、考えてみれば、じいちゃんも父さんもそんな感じなんだ。
研究に没頭したら家になんて帰ってこないし。
姉ちゃんが特別なわけじゃない。
……とすると、もしかして、変なのは俺?
一時期、“自分はこの家の子じゃないのかも?”って真剣に悩んだことがあるもんなぁ。