嘘と秘密と僕らの関係
「父さんは遅くなるらしいから、すぐにご飯にしましょう!」
明るい母さんの声に引き寄せられるように、キッチンへと戻っていく彼女。
「ひなちゃん、これ運んでくれる~?」
「はーいっ」
差し出された料理の皿が、手際よくテーブルに並べられて…
あっという間に準備完了。
美味そうな匂いが立ち込める。
ちらっと覗いてみれば、どれも俺の好物ばかり。
毎度のことながら、母さんには感謝だ。
月に1度しか会えない息子のために、こうしてちゃんと料理を作って迎えてくれて……
親なんて鬱陶しい年頃だけど、たまに会うからこそ素直に感謝できるしやさしい気持ちで接することができる。
寮生活は確実に俺を成長させてくれたよ。
しみじみと考えていると……
「あら、朔はまだ?郁也が帰ってきたときに、さっさと下りてくればいいのに…しょうがないわねぇ。」
キッチンから戻ってきた母さんが呟いた。
あー…そういや、あいつの姿が見当たらない。