嘘と秘密と僕らの関係
呼びに行こうとリビングを出かけた母さんを、
「あ、私呼んでくる!」
同じくキッチンから戻ったばかりのひなたが制して、
「久しぶりなんだから、おばさんは郁ちゃんとゆっくり座ってて」
母さんを椅子に促した。
「テスト近いから、朔ちゃんはお勉強中だと思うの。イヤホンつけてるから、呼んでも聞こえないよ、きっと。」
笑顔で言うと、そのままリビングを出て階段を駆け上がっていく。
その言い方がやけに親しげでなんとなくむっとしたけど、まぁ…無理もないか。
2人だって“幼なじみ”なんだから。
しかも、俺と違って、中学も高校も同じ。
仲が良いのは無理もない。
ま、でも、心配する必要はないから。
朔が、俺のライバルになることは絶対にない。
母さんの話によれば、あいつにはちゃんと彼女がいるらしいし、
ひなたに興味がないことは、
誰の目にも明らかだ。