嘘と秘密と僕らの関係
しばらくして…
ひなたの声と2人分の足音が聞こえてきて、ようやく朔がリビングに現れた。
俺の姿を見ても、少し眉を上げたくらいで言葉を発するわけでもなく、無表情のまま席につく。
……相変わらず、素っ気ないよなぁ。
我が弟ながら、心配になってしまうよ。
そんなんで、ちゃんと社会生活を営んでいけるんだろうか?
そんな朔とは反対に、
「ねぇ、朔ちゃん。あとで数学教えてもらってもいい?どうしてもわからないところがあって…」
にこにこしながら、まるで仔犬のように朔に寄っていくひなた。
かなり友好的であるにも関わらず、
「あぁ。」
ひなたを見ようともせずに、ぶっきらぼうな返事をする朔。
明らかに面倒くさそう。
まったく、冷たいよなぁ。少しは笑ってやればいいのに。
無愛想にも程がある。
ひなたが可哀想じゃないか。