嘘と秘密と僕らの関係
「ひな、明日ヒマ?」
夕飯を終えて、後片づけをしているひなたのところへ行く。
母さんが風呂そうじをしている、今がチャンス。
聞かれたら面倒だし。
「明日…?なんで?」
不思議そうに首をかしげる、その仕草さえ可愛い。
「もし暇だったらさ…映画、観に行かない?」
「…映画?」
「ひなが前に見たがってたやつ。明日から公開じゃん?」
「あー…」
つまり、デートの誘いだ。
ちらっと、リビングにいる朔を見る。
別に、見せつけたいわけじゃない。
だけど、わざと聞こえるように話している自分がいた。
朔がひなたに無関心なのはわかっているけど、俺がひなたを好きなことはわかっていてほしい。
ひなたはこんなに可愛いんだから。
朔がいつ“その気”になるかわからない。
そしたら、俺に勝ち目なんてない。
「行ける…よね?」
不安と期待の入り交じった視線を向ければ、
「もちろん!」
ひなたはにっこり笑った。