嘘と秘密と僕らの関係
ひなたとデート…
考えただけで頬が緩む。
初めてなわけじゃない。
家に帰る度、俺は何かと理由をつけてはひなたを誘い出している。
ひなたは絶対に断らないから。
ってことは、“彼氏”とかいないんだよな?
いたら、さすがに断るだろうし…
って言うか、いたらかなりショックだ。
他の男に笑いかけたり、
他の男と並んで歩いたり、
手をつないだり、
肩を組んだり、
抱き合ったり、キス…したり……?
うわぁっ。
なんて汚らわしい。
そんなことは許せない。
こんな…純真無垢な天使がだよ?
……ありえない。
隣にいるひなたを見た。
暗いにも関わらず、その姿は光輝いていて眩しい限りだ。
月明かりに照らされて、白い肌がいっそう際立つ。
思わず見とれてしまう。
その柔らかそうな頬にそっと触れて、細い身体を抱きしめて、腕の中に閉じ込めてしまいたい……
「…郁ちゃん?どうかした?」
――妄想は、あっけなく幕を閉じた。