嘘と秘密と僕らの関係
「……なんで、お勉強してるのかなぁ?」
不満気に呟いてみたものの、
「テスト近いから」
顔も上げずに、あっさりと答えられてしまった。
「明日は土曜日だよ?お休みだよ?」
「休み明けはテストだよ。お前も少しは勉強しろよ。また赤点取って、泣きついてきても知らないからな」
……うっ。
痛いところをつかれてしまった。
ここは、私の部屋。
ちゃちゃっと掃除して、香水を振り撒いて甘い香りを漂わせたりもしてみた。
なのに……
甘い雰囲気になるどころか、テーブルに向かい合ってお勉強って……
ひどすぎる。
そりゃ、勉強中のところを無理矢理呼び出したのは私だけどさぁ。
こんなつもりじゃなかったのになぁ。
わかってるよ。
っていうか、私だって勉強しないとかなりヤバイんだ。
郁ちゃんの高校が私立で一番だとしたら、私たちの通う高校は公立で一番と名高い。
入るときに力を使い果たした私はビリのほうをさ迷ってるけど、目の前のこの人は、入学以来ベスト5から落ちたことはないんだから。