嘘と秘密と僕らの関係
「なぁ、ひな…」
ゴロゴロと喉を鳴らす猫の如く、俺の胸に顔を寄せていたひなたに問いかける。
「明日、郁と“デート”だっけ?」
ちょっとした意地悪。
困らせてやりたいと思うあたり、俺も子供だよな。
ひなたがピクッと反応したのがわかった。
パッと顔を上げたかと思うと、
「……そうだよ?朔ちゃんのせいで、ね。」
恨みがましい視線を向けられてしまった。
「俺のせい、って…おまえが自分でOKしたんだろ?」
「違うよぉ。朔ちゃんがはっきり言ってくれないのがいけないんじゃん。」
ぶぅっと頬を膨らませて、思いっきり睨んでくる。
全然怖くないけど。
……むしろ、可愛くてヤバイ。
わかってやってるんだか、無自覚なのか…
うるうるした大きな瞳で上目遣いって……
単純な男だったら、すぐに落ちるぞ?
まさか…郁の前でもやってたりするのか?
考えたら、なんとも不愉快な気分になってきた。