嘘と秘密と僕らの関係


「はぁっ?」


まるで見透かされたような発言に思わず声が上擦ってしまった。


「へへっ。なんかすごく嬉しいかも。」


そう言って、俺の首にするりと腕を巻き付けて、鼻がくっつきそうなくらいの至近距離で顔を覗き込んでくるひなた。

その瞳はまっすぐだから。

嘘も誤魔化しも、結局いつも通用しないんだ。


「でも、ここじゃ見えないよ?」


ちらっと胸元を見てから、ひなたは不服そうに口を尖らせた。


「…見えるとこに付けてほしかった?」


からかったつもりなのに、


「……っ」


照れるわけでも焦るわけでもなくぶすっとして俺を睨んでくる。

まさか、肯定?

まったく、コイツは……


「だって…「バーカ」


言いかけたひなたの唇に、啄むようなキスをした。


「…んなこと、できるかっての。」

「えっ?」


ひなたが“そういう”目で見られたら、たまらない。

“そういう”対象に見られることは許せない。


郁だけじゃなく、他の男にも。



“女”として、誰かの目に映ること自体が、我慢できないんだ。


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