負けたくない。
「は?」
私は思いっきり顔を歪めた。

私、物じゃなぃんですけど。
つか、勝手に決めんな、コンチクショウ。

言葉には出さないでおいた。
何されるかわかったもんじゃないから。


「お前、俺のこと嫌いだろ」

先生はクックックと音を立てて笑った。


「めちゃくちゃ嫌いです」

即答してやった。

当たり前だ。
入学当日に襲われたとか、ありえない。

もう隠しようがないくらい、嫌いだ。

先生は私の言葉を予想内とでも言っているように笑った。
そして私の頭を撫でると口を開いた。

「俺ァお前を惚れされる」

一瞬何を言ってるのかがわからなかった。
だけど、理解して顔を引きつらせた。

「何言ってんですか」

意味がわからない。
何故、そんなに自信満々なのか。

「じゃあ、勝負でもするか?」
先生は、ニィッと笑った。

さっきとは違い、見下したような目つきをして。


――多分このときは既に、私の性格を先生は見抜いていた。

私はついカチンと来て、勝負にのった。
先生は「かかった」とばかりに笑った。


< 14 / 33 >

この作品をシェア

pagetop