負けたくない。
「桐野サン」


名前を呼ばれ、声の方向に向いた。


ぶっちゃけ、今はそっとしておいてほしかったのに。

空気読めや、コラ。



・・・などとは言わずに、顔を引きつらせた。


と、目の前にはポニーテールの女子。


しかもめちゃくちゃ可愛い・・・

てゆぅか、この人。

何か男子の間で噂になってたよぅな。



私はその女子の顔を凝視して止まっていた。


女子は首をかしげたが、私に言った。
「同じクラス、よろしくね」


女子は私に手を差し出した。
握手・・・求めてるのか?


私は不審に思いながらも差し出してきた手を握る。

「石谷朔(イシヤサク)って言うんだ」

石谷サンは私に笑いかけた。

「めちゃくちゃ可愛い・・・」
天使のような微笑に、私は見惚れた。

「てか、石谷サン。どうして私に声かけたん?」
「朔でいいよ」

朔が言った。

「だって、桐野サン。おもしろいから」
朔は私の手を指差した。


私はクシだと思って持ってたのだが、
よく見たら歯ブラシ・・・
< 18 / 33 >

この作品をシェア

pagetop