流星群
彼と彼女
冬真っ只中寒空の下あたしはホストを拾いました。
「…そんなとこで寝てると風邪引くよ?」
「…」
今日は金曜日。
やっと週末だ、帰ったらお風呂に入ってストーブをつけて好きなだけ寝てやろう。
そう思って大学から早足で帰ってきたのにこの有り様だ。
人ん家のアパートの前で男一名倒れてる。
しかも傷だらけで。
「…っあんたの目可笑しんじゃねえの、どう見ても寝てる様には見えないでしょ」
「じゃあ何してたの」
「…別に、寝てた」
そう言ってよっと男は上半身だけ起こした。
「っ!思ったより痛えな…」
舌で傷口を舐める。
もちろん舐めるだけで傷が治る訳でもなくただ固まった血を舐めているのをぼーっと眺めてた。
「…家出?」
「んな訳ないじゃん。俺もう21だし」
「あっそ」
あ、そういえば冷蔵庫に食べ物あったっけ。
もう外には出たくないし、この土日どちらにも珍しくバイトは入ってないし…仕方ない少し歩いてコンビニにでも買いに行くか。
「あたし行くとこあるんでこれで、間違っても人ん家の前で寝たりしないでくださいね。じゃ」
そう言い切ると男にも目もくれず振り返ることもなくコンビニへと足を急がせた。
「いらっしゃいませー」
店内に入る度に定員の無気力で決まった台詞だけが耳に入る。
あとは僅かな音楽だけ。
入ると迷わず食べ物飲み物適当な分だけをレジへとすぐに持っていく。
なるべく長居はしたくない。