王子とカメ子
「もぅ…何してんの…
現実だよ、現実。」
そう言って王子は私の頬を撫でた。
その後、私の頭を撫でて
「…すぐ泣くとこも、この寝ぐせも……瑠衣ちゃんだから…………好き。」
最後の「好き」は聞こえないくらい小さな声だったけど、うれしくて顔がすごく熱い。
でも
昼休みの終わりを告げる鐘が鳴って
王子が離れる。
「戻ろっか。」
「……はい。」
また明日
って言おうとしたら
王子が
「あのさっ!」
って言った。
「はい?」
「……今日、一緒に帰ろっか」
王子…!!!!
「はい…!!大好きです!!」
自分でもよく分かんないけど
走って教室まで帰っちゃった。
携帯には新着メールが1件
“じゃあ、あの抜け道から
帰ろっか。
好きとか、間違っても
他の人に言わないでよ?”
…言わないよぅ。
大好きなのは
王子だけ!!!!
おしまい