春の旋律
「じゃあ、左手のコードについて説明するんですけど、コードには短調と長調があって……」
レッスン2日目。
昨日は姿勢や鍵盤に置く指の形を教わって、ピアノに慣れるため、右手だけの簡単な曲を弾いた。
今日は左手のコードを練習する。
「コードってのは和音のことで、ドミソって言えば分かりますか?」
柏木先生が鍵盤のドミソを左手でポーンと鳴らす。
「これが簡単に言うと長調のドの和音。一番低い音がドの音だから、ドの和音です。」
「うわ…じゃあこれは…」
私はレとファとラの音を鳴らす。
「レの和音ですか」
「うん、確かにレの和音だけど、これは短調です。長調にするには、ファに♯を付けなくちゃいけません。音と音の幅で、長調と短調が決まるんです」
柏木先生がレとファ♯とラの和音を鳴らす。
「わぁ…明るくなった。」
「そう。短調は寂しい和音で、長調は明るい和音。耳が良いですね。」