春の旋律
「じゃあ、先生、ありがとうございました。すごく楽しかったです」
「僕も楽しかったです。畑中さんみたいに、ピアノ教室の子も真面目にレッスン受けてくれると、嬉しいんだけど」
「大丈夫ですよ。先生なら出来ます。」
そう言って私は靴を履いた。
「あ、先生。」
「ん?」
「最後に言いたいことがあるんです」
「何ですか?」
「あの……。私…………。」
「…ん?」
「えーっと……。………頑張ります」
「ふふふ。……どうしたの?いきなり」
「とにかく、頑張ります」
「もう、どうしたんだい?……よく分かんないけど、まあ、頑張れ!」
そう言って私は先生の家を出た。