春の旋律
春の終わり
「先生。桜、全部緑になっちゃったね」
「そうですね……。買い物に行く度に花びらが口に入ってきて鬱陶しかったですが、来年までそれが無いのは寂しいですね」
「花びらが口に入ったことなんて無いんだけど……」
てゆうかさー、と私は続ける。
「先生いつまで敬語なの?敬語は止めようって言いだしたの、先生だよね」
「いやー恥ずかしながら予想以上に難しくて……。畑中さんは順応力が高いですね」
「んもー」
「怒らないで下さいよう」
先生が私のほっぺたをむにょーんと引っ張る。
「おほっへはひ」
「え?」
「怒ってない。けど……なんか寂しいじゃない。敬語ってなんとなく距離感ある気がして……」
「畑中さん………可愛い」
ふっと、先生の唇が降りてきた。