春の旋律
「あ、こんにちは」
男の人は、爽やかなあいさつをしてきた。
「こ……こんにち……は」
私は男の人の顔をじっと見た。
……か………かっこいい……。
この人がピアノを弾いているんだろうか。
「あ、あの……。ピアノ……」
「ん?」
「ピアノ弾いてるのって……」
「ああ、僕だよ。………ごめん、うるさかった……?」
ごめんなさい、と謝る男の人に、私はブンブン手を振った。
「そ、そんな、うるさいなんて、全然思ってません!!むしろ楽しみというか………あ」
本音出ちゃった。
男の人はキョトン顔。
は、恥ずかしい……!!
「と、とにかく、うるさくなんてないですから……!」
力強く言うと、彼は嬉しそうに、にっこり笑った。