空の向こう側
突如聞こえた声に私は体を壁に隠す。
この声…環?
「梶原夏が、来ていない?」
「ハイ。今日は一限からだったのですが、姿が無いんですよ。
今まで無遅刻無欠席の彼が、どうしたのか…。」
講師によると、夏は珍しく講義に出ていないらしい。
…昨日そんなに遅くまで居たっけ?
でも、もし寝坊なら確実に私のせいだよね…
「とりあえず、様子を見ましょう。風邪かもしれませんし、昼から来るかもしれない。」
環の提案に納得したのか、講義の足音が遠ざかっていった。