空の向こう側
そりゃあ、あんな奴の嫁なんて嫌だな
「それに、何でいきなり婚約なんて…。」
「信彦君が、亜紀に惚れたらしくてね…。私達は、婚約しないと村から追い出すと脅されて…。」
…大体状況は把握出来た
今鵜飼に逆らう奴は誰も居なくて
信彦なんかの言いなりになるしか無いって訳か
「…しゃあねぇか。」
こうなる事は予想内だ
「行くか、亜紀。」
「えっ?」
首を傾げる亜紀の手を掴み、俺は歩く。
「ちょ、夏…どこに行くんだ?」
親父の声に足を止め、振り返らずに告げた。
「決まってんだろ?
鵜飼の家に乗り込むんだよ。」