空の向こう側
鵜飼の顔が青ざめる。
そんな事も構わず、俺は言葉を続けた。
「最後のチャンスだぜ、鵜飼?
亜紀との婚約は破棄しろ。ま、この生活とおさらばしたいなら話は別だがな。」
これが決定打だった。
主人は強引に信彦の頭を押さえ込み
頭を下げる。
「…亜紀さんとの婚約は、破棄させて頂きます。」
震えた声で小さく発したその言葉。
「そうすか。そりゃどうも有り難うございます。」
俺は作り笑いを浮かべた。