空の向こう側

主治医はそう言って、部屋から出て行った。



「死ぬ…。」




ずっと昔から分かってた





未知の病で、治療法が無いと言われた時から






あぁ、いつか死んじゃうんだろうなって







だから、覚悟は出来てた筈なのに…




「何で…?」




何で、涙が出て来るの?




死ぬのなんて怖くない、そうでしょ?




ーーー沙羅っ!ーーー




「…あっ。」




浮かんできたのは、いつもの夏の顔。





会いたい




今、夏に会いたい






私は窓を見つめた。






< 200 / 288 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop