空の向こう側
私はもう待ちきれなくて
思いっ切り夏に向かって抱き付いた。
「うぉあ!」
夏は咄嗟の事に支えきれず、二人でそのまま倒れ込む。
「痛って…沙羅、大丈夫か?」
私は答えずに、少し小さく頷いた。
夏だ
間違いない
私はまだ、覚えてる
「な、夏~!!」
夏の顔を見た途端、溢れるように出て来る涙。
「は!?ちょ、泣き止めって…。」
夏は私の涙を拭ってくれた。
「沙羅、何で城抜け出してんだよ。」