空の向こう側
一瞬、思考が停止した。
名前…どうしよう
沙羅って名乗ったら、さすがにバレちゃうよね?
「名前…沙希、沙希だよ?」
咄嗟に出た偽名
まだバレたくない
バレたらきっと、夏も皆と同じ
私の前から居なくなる
夏は気を利かせてくれたのか、飲み物を買ってくると言ってどこかに行った。
ふぅ、と息を吐いて空を見上げた。
真っ黒い中に光り輝く星
私が見た空は、いつも真っ暗
一度くらい、青い空の下で踊りたいな…
「オイ、さっさと出せよ!」