空の向こう側
今日も空には星が出ていた。
森の中で空気が澄んでいるのか、星達は一段と輝いている。
「世界ってさ、広いよね。」
沙希が空を見つめながら言った。
「私達が思ってる以上に世界は広くて、どこまでも繋がっている。
私達がこうして出逢って、話してるのって奇跡みたいだね。」
沙希の言葉を、俺は黙って聞いていた。
確かに、こんな広い世界で俺達が出逢ったことは
どれくらいの奇跡なんだろう?
もし俺があの時環を助けなければ
俺が黎術院に推薦されなければ
俺が森に入らなければ
出逢うことは、なかったんだ
「もし、私がどこか違う場所に行ったら…夏はどうする?」