傷だらけのヴィーナス
な、なんで?
なんでこんな、間部主任は私なんかを誘ってくるの?
「い、いや、あの、あ…」
私は緊張のあまりどもってしまい、話にならない状態になってしまった。
なんか言わなきゃと思えば思うほど冷や汗が出て、この場から走り去りたくなる。
「ああ、いいよ?まだ出会ったばかりだからね。これからゆっくり…」
それだけ言って微笑み、間部主任はきびすを返した。
「…小松?顔真っ赤だぞ」
いつの間にか戻ってきていた小林君にそう話しかけられるまで、私はその場に固まったままだったのでした。