傷だらけのヴィーナス
私が小林君の背中を見送っていると、間部主任は私の頬に手を当て、主任の方を向かせた。
―――嫌っ!…
最近寒くなってきたからか、肌の調子が悪い。
ちょうど触れられた辺りに掻きこわしてしまいそうな箇所があったため、私は思わず俯いてしまった。
「どうした?」
「……、触れないでください」
私はそれだけ言うと、勢いよく立ち上がった。
「コーヒー入れてきますね」
間部主任は何か言いたそうだったけど、私はかまわず給湯室に向かった。