傷だらけのヴィーナス



「はぁ………」

給湯室の壁にもたれ、私はため息をついた。

自分の肌が憎い。

しかしそれ以上に憎いのが、間部主任の白くてきれいな肌だった。

男の人ながら、傷一つない真珠のような肌。
…憎いというより、ただ単に羨ましい。

主任と一緒に仕事をしていろいろ教えてもらうのはうれしいけど、近くにいたら比べられそうで怖い。

―――コンプレックスの塊である私には、完璧すぎて眩しいくらいの存在なんだ。



「コーヒー…」

そう言って抜けてきたんだった。

私はのろのろと立ち上がり、紙コップを取り出そうとした。

「待ちくたびれたんだけど」



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