傷だらけのヴィーナス



私が答えに躊躇していると、間部主任の指が頬から唇に伸び始めた。

そのまま私の唇の形をなぞり、顔を近づけてくる。

「柔らかいね」

「………っ」

「早く返事しないと、俺が我慢できないよ?」

―――あああ、もう!



「わかりました!」

私がそう返事をすると、主任は満足そうな表情で私から離れた。

私は、緊張から解放されたからかその場にしゃがみ込む。

うずくまり、顔を触れるとものすごく熱かった。

「さ、コーヒー持ってきてね?今夜はデートだから残業なんかさせないよ」

「………はぁ」



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