傷だらけのヴィーナス
ちらっとしか見えなかったけど、美和さんと呼ばれるあの人は私と違って華のある綺麗な人だった。
やっぱり、間部主任もああいう人が好みなんだろうか。
………って。
「なに考えてるんだろ…」
家に着いたあと、私はベッドに突っ伏しながらそう呟いていた。
あの二人の姿が目に焼き付いて離れない。
―――♪♪♪
電話が鳴った。
何度も鳴った。
相手は、間部主任だった。
私は、電話に出ようとしなかった。