傷だらけのヴィーナス
なんだかよく眠れないまま、翌日を迎えた。
「小松、おはよう」
小林君がそう挨拶してくれるまで、私はぼんやりと座っていた。
「おはよう」
「…おまえ、寝てないだろ?」
「―――バレた?」
「……あとで、話がある」
始業のチャイムが鳴り、そこで会話は途絶えてしまった。
間部主任は朝から会議らしく、まだ顔を合わせていない。
よかった。
心からそう思った。
どんな顔をして話をしたらいいのかわからないし、なにより。
こんなひどい顔、見られたくなかった。
できることなら今日はこのまま、間部主任に会わずに終わりたかった。