傷だらけのヴィーナス
派手な人。
きっと美和さんのことだろう。
私には、もう関係ない。
私はただ、主任のことを好きでいられればそれでよかった。
「―――不毛だなぁ」
珍しく小林君に夕ご飯に誘われた私は、また小林君にかいつまんだ話をしていた。
「まぁ、ね。でもさ、こんなボロボロなのよりは、綺麗な人の方がいいじゃん」
そう言って、私は自分の手を照明にかざす。
「俺だったら気にならないけどな」
「…ありがとう」
「おまえさ、意味分かってる?」
不意にそう言われ、私は小林君のほうを見た。