傷だらけのヴィーナス
小林君は、私のボロボロの指を握りしめた。
「え?小林君?」
「……小松のことなんとも思ってなかったらこんなこと言わねぇよ」
顔を真っ赤にした小林君に、私は目を見開いた。
「俺はおまえが笑ってくれるんなら主任を想っててもいいんだ。でも、主任はおまえを泣かせてばっかりだ。だったら我慢はしない」
そう言ってそっぽを向く小林君。
私はなにも言えなくて、握られている手を見つめていた。
「あーーーっ、もう!こういう気まずい感じが苦手なんだよな!…とりあえず、食おう。食ってまた頑張れよ!」
私は、小林君の気持ちがうれしかった。
「…うん!ありがとう」