傷だらけのヴィーナス
話の内容から、恋愛に疎い私でも二人がどういう理由で別れたのかが理解できた。
どうして?
どうして、好きな人を悲しませることができるの?
「どうしてですか?」
気づいたら私はそう口走っていた。
二人とも、驚いたような顔でこちらを見ている。
「……なぁに?」
「―――どうして、あなたを好きでいる間部主任を悲しませるようなことをしたんですか?」
すると、主任にくっついていた美和さんはこちらに向かって進んできた。
「あなたには関係ないでしょう?さっさと帰りなさい。そんながっさがさの肌して、左京に近づこうなんて生意気なのよ」