傷だらけのヴィーナス
「―――確かに私はあなたに比べたら汚いです!だけど、だけど!」
視界は涙でかすんできた。
こんな風にけなされて、恥ずかしい思いまでして、私はなにがしたいんだろう。
でも、言わなきゃならない気がした。
……この気持ちが、知られてしまうとしても。
「少なくても!私は間部主任を悲しませたりはしません!…好きな人を傷つけることなんて、一番最低じゃないですか……」
私はそう言い、二人に背中を向けた。
泣き顔なんて見られたくなかったから。
哀れんでなんかほしくなかったから。