きいろい青空【完】
恋風


きのう、東京見学があったなんて思えない。



楽しいと時が早く感じるって今さら思う。


いろいろあったけど…




「東京見学も終わり、次はテストですね!」



今、朝のHR中。



テストと聞いてクラスはどんよりしている。




あっ、そう言えば……



「なぁー、英斗」



俺は後ろを向き、真後ろの席の英斗に話し掛けた。



きのう、バスの中で本人が寝ていて聞けなかったこと。



「きのうは、どうだった?美久と」



それを聞いた英斗の顔は一気に暗くなった。



……あんまり、良くなかった?




「あ゛ー…もう、全然ダメ!!普通に行ったんだけど、花恋大丈夫かな?とか。直輝平気かな?とか…心配ばっかしてんの。俺いんのに…」




やっぱり、よくなかったみたい…。



どんまい英斗。




「でも、そこらの男子よりは美久と一緒にいた時間が長かったわけだよな?」



ひらめいたように問いかけてきた。




「まぁ、うん」



「んじゃ、いいし~!いっぱい一緒にいたし~~!!」



にやけ始めた英斗。



超ポジティブ…逆にスゴイ。




「よかったなぁ~」



「うん。よかったぁー!そういうお前は何かなかったんか?…てか、瞳はナニ??」



ビクッと背筋がなった。



いきなり、瞳の名前が出てきたから。



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