きいろい青空【完】



「どーしたの?」



翼の大きな目が俺を見上げる。



「いや、みんなが…違う。そうじゃなくて…」




みんなが見てたから…なんか…。



なんか上手く言えない。


恥ずかしいじゃなくて、なんか引いちゃう。



初めての彼女だから慣れてないのかも…





「えっ!!」



翼は俺の腕をつかんで、教室に入り教卓の前に立った。



「みなさぁ~ん」



クラスに呼びかけると、みんなの視線が集まった。




「うちの………彼氏ですっ!」



翼は俺の腕を組んで言い放った。





「………ウソぉ!?」


「キャーーー!!!」



みんな騒ぎ始めた。



「なんでぇ、手出したらガチでキレるかんね!んじゃ」



それだけ言い残すと、腕を引っ張られ廊下に出た。




「やべぇ~~!!こういうの楽しっ!!」



足をバタバタ足踏みさせて、喜んでいる。



この笑顔…。



素直に可愛いと思った-----




「てぇか、瞳のやつ。タイミングよくいなかったな」



と言い舌打ちをした。



「え!?なんで?」



思わず大声が出てしまった。




「告られたんしょ?知ってる~。だから、ワザと言ったんだけど。なのに瞳本人がいなかったし」




「何をする気なの…?」




恐る恐る訊く。



それとは反対に笑った言った翼。



「ん?しばくけど?うちの彼氏に手出してんじゃねぇって」




「いや、だめ。俺がちゃんと言うから。ちゃんと話すから」





翼は、しばくとか、ボコすとか言うと思った。


そういう方法を使うと予想はついた。




でも、そういうことはやめてほしい。



俺が言うんだ。



俺の問題だから。





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