きいろい青空【完】
帰りのHRが終わっても、花恋と瞳は教室には帰って来なかった。
ふたりの机はぽっかりと空いている。
早退にされたんだろう。
でも、花恋の机に補助バックが残っていて不思議に思った。
補助バックが残っているということは、勝手に学校を帰ったのか?
俺は、ある程度見ていた友達に話を聞いた。
やっぱり俺も関係していた。
瞳と話をつけようとしたが、いないから明日言おう。
そう決めた。
廊下を歩き、部活に向かう。
「お願いします」
体育館に入り、偉そうにパイプ椅子に座っている顧問にあいさつをした。
バッシュの、キュッキュッという音が耳に響く。
それと、ボールの弾む音…
これらの音を聞くとなんだか落ち着く。
「おい、直輝。大丈夫か?顔色悪いぞ?」
「え?」
準備体操をしていたら、顧問が顔をのぞき込んできてそう言われた。
「大丈夫ですよ?」
「大会前だから、無理すんな。一応、保健室行って来い」
「は、はい。行って来ます…」
重い足取りで保健室に行く。
ガラガラガラっ---……。
中には誰もいなかった。
体温計を探し、脇に挟み計る。
ただじっと待ち、ピピッという音が保健室に響いた。
【37,5】と表示されている。
熱あるじゃん。
今日は良いことないなぁ~…
ひとつ溜め息を吐いて、保健室を出た。
「びっくりしたぁ~…」
目の前には颯さんが立っていた。
「どうも…」
小さくお辞儀をし、横を通り過ぎようとした。
「話があるんだけど、ちょっといいか?」
「いいですけどっ…」
予想外なことを言われ戸惑う。
あのチャラい颯さんが真剣な顔をしていると、逆に怖い。
「今日、花恋が暴れたらしいじゃん?」
廊下の壁に寄りかかり、話し始めた。