きいろい青空【完】
「颯、どこ行くの!??」
颯はうちの問いかけなんて無視して、どんどん歩く。
ガラガラガラっ…
カチ----。
保健室に入り、鍵を閉めた颯。
「え、なに?なになになに??」
颯は静かにベッドに座った。
「…おいで。花恋」
颯は手を差し伸べてきて、その手をうちは握る。
そしたら、そのまま引っ張られ抱きしめられた。
「どうしたの?颯」
「…………」
颯は何も言わず、ただ強く抱きしめてくる。
「…いたいよ」
でも、いい。
好きで好きで大好きだから。
ずっとずっとこうしていたい…
「きのう、直輝に怒鳴られたんだ」
「直輝に?なんて?」
「花恋だけじゃねぇーのかよって」
「…どういう意味?」
「俺には、腹違いの妹がいるんだ。親父は浮気ばっかしててな…それで、妹と花恋どっちが大事なんだって聞かれて……」
……妹?
颯に?
いたんだね…。
うちは、颯のこと知らな過ぎるよね。
「なんて、答えたの…?」
バカじゃん。
妹なんかに…嫉妬しているんだ。
「俺はお前が大事だ。改めてそう思った」
…あ。
改めてってことは、妹って答えたんだね。
颯は今、どんな顔をしているの?
抱きしめたままだからわからない。
けど、このままでいてね…お願い。
だってだって。
目がうるうるしてきて、見えなくなって…