きいろい青空【完】

直輝*




「よかったよー。一日で治って!」



朝の登校中、隣で翼が微笑んでくれている。





「うん、お見舞いありがとねっ!」




「当たり前だっつーの」




きのうの熱は丸一日寝ただけで治った。





「今日、瞳と話してくるからね」



「……う、うん!!がんばれぇ~直輝」




「ありがと」




少し心配そうな顔を見せた翼。



心配させちゃってる俺って…カッコ悪い。




ごめんね、翼。









朝の教室に入り、瞳を探す。




席に着いている瞳に近寄った。





…俺は、見てびっくりした。



瞳の頬には、痛々しい青いアザが残っている。




どれだけ花恋が怒ったのか一目でわかる。





「今日の昼休み。話があるんだけど…いい?」




「うん、私も話したいんだ。じゃあ、5階に行く」




「わかった。じゃあ、昼休みに」




それだけ伝えると、俺は自分の机に戻った。




瞳の話ってなんだ?



机にほうずりをつき考えたが、全然わからない。





「最近、花恋としゃべってるとこ見ねぇ~な」




英斗が今来たらしく、机にドサっとカバンを置いた。




俺は体を後ろに向け英斗と話す。




「別にそういうわけじゃないんだけど…いいんじゃん?これで」





「ふぅーーん」



不満そうな顔して、睨んできた。





「翼がいるんだし、逆にいいんだよ!!」




「あっそ」




英斗に言われて初めて気付いた。



花恋と話して無いってこと----




これが人を忘れるってことなのかな…?



< 123 / 305 >

この作品をシェア

pagetop