きいろい青空【完】
「あれ、花恋。それ取れちゃってる」
「え?」
突然、颯はうちの足を指差して言った。
足に目を落とすと、下駄のひもが取れてしまっている。
「あーあ…新しかったのにぃ〜…」
「それほど走ってきてくれたってことだろ?」
変にニヤニヤ笑って訊いてくる颯。
「何、その顔ぉ~」
「だって、なんか嬉しんだけど…愛感じちゃいますっ」
へらっと口角を上げて大きく笑って。
うちもその笑顔につられて、笑う。
「んじゃー、そろそろ帰るか」
そう言いながら、颯はうちの目の前に背中を向けてしゃんがんだ。
「なに?」
「何じゃねーだろ?ほら」
あ、おんぶしてくれるんだ。
颯の見えない後ろで、一人でにやけてた。
素直に嬉しい。
「よいしょ」
颯の背中に抱きつくように、乗っかる。
うちを乗せて歩き出した。
背中あったかい。
颯の背中、大好き。
「俺らって、知らねぇ事多いよな?」
「だよね。もっと話さなくちゃ」
お互いにもっとたくさん知っていこう。
「おう」
颯、パパと仲直りできないのかな…?
あんなに悲しい顔で話すんだもん。
だから、仲直りして、笑ってもらいたいんだけどな…