きいろい青空【完】
今日の帰り。
3年C組の教室の前まで来た。
先輩達がぞろぞろ教室から出てくる。
俺は少し頭を下げ、先輩達に挨拶する。
そして、颯さんが出てきた。
「よぉ!直輝。何してんだ?あっ、翼待ちか!?」
陽気な笑顔で喋りかけてくれた。
「いえ。颯さんに話があって…」
「俺に?なに!?」
その頃には、教室と廊下には誰もいなくなっていた。
廊下には、俺と颯さんのふたりきり。
時計と心臓の音だけがきこえる静かな廊下…
「花恋のアザは…颯さんがやったんですか?」
颯さんの表情が一瞬、止まったように見えた。
視線を落とし答える。
「………俺がやった。悪いと思っている」
そんな言葉は…絶対に聞きたくなかった。
「なんでっ!?」
「八つ当たり?」
語尾を上げて言った言葉。
こいつは何を考えているんだ…!?
花恋を傷つけたんだぞ?
体の底から沸き上がってくる怒りを感じる。
今にこんな奴ぶっ飛ばしたい気持ち。
だけど、必死に拳を押さえて……
「しかも、メール知ってますか?」
「メール?」
「多分、颯さんの元カノとかからのいじめ…」
「直輝っっ!!」
突然、後ろで俺の名前を呼ぶ声がきこえた。
その声は…
後ろを振り返った瞬間。
パチンっ!!
廊下に鳴り響く。
平手打ちをくらった。
「なんで言ってんの!?言うなって言ったじゃん!!マジ最低。直輝なんか、大っっっ嫌い!!」
花恋の怒声が次々に飛んでくる。
わかってる。
俺が悪いってわかってる…