きいろい青空【完】
「直輝ぃ~~!」
後ろで俺の名前を叫ぶ声。
この声は翼だ。
振り返ると、翼が大きく手を振って近寄って来るのが見える。
その姿に手を振り返えした。
「もう、終わったんだね」
今日は、翼の進路相談で一緒に帰れないと言っていた。
「うん!直輝に会いたくて、走って来ちゃったよ」
確かに、翼の額には汗が光る。
その汗を親指で拭う。
「よくわかったね。ここにいるって」
「英斗くんに会ったから聞いたの。そしたら、多分ここにいるって言うから」
よく、わかったな…
英斗の奴。
親友、8年もやっているとさすがだな。
「でも、なんで神社なんかに来たの?」
「ちょっとね…」
翼は、俺の手のペンと絵馬舎をジロジロと見た。
「絵馬を書いてたの?どれ?直輝の」
自ら近づいて、探し始めた。
ひとつひとつ手に取って見ていく翼。
「あ、これ。直輝のでしょ?字で分かった」
そう言って、翼はひとつの絵馬を手に取った。
願いをゆっくりと読んでいる。
絵馬から目を離さずに話す。
「これさ…颯と花恋のことでしょ?ふたりが別れるって言うから」
「うん…」
正直に言おう。
翼がいるのに、花恋の幸せを願っている俺。
翼を悲しませるって分かっているのに…