きいろい青空【完】
そして、デートの約束をしてから5日が経ち、誕生日の日。
今日で俺も14才らしい…
って、そんなことより急ご!!
翼はもう待ってるかもしれない。
待ち合わせの駅まで小走りで向かう。
ほら、やっぱり。
駅の時計台の前には、ケータイをいじっている翼がいた。
走る俺に気付き、ケータイのディスプレイから目を離す翼。
俺は手を振る。
笑顔と共に手を振ってくれている翼。
「ごめんね。待たせちゃって」
「全然、待ってないよ。んじゃ、行こっかーー!」
俺の腕を組み、少し足を弾ませながら切符を買いに歩く。
翼テンション高いなっ…
俺も楽しまなくちゃ。
俺と翼は、手を繋ぎ電車に乗り込んだ。
うわ…人がすごい。
満員電車じゃん…ドンマイだよ…。
「翼、大丈夫?」
「う、うん。なんとか平気…だよ」
翼が人混みでつぶされている。
つないでいる手が離れてしまいそう。
ってオイオイ!!
おじさん!!
翼の背中におじさんが密着している!
翼の頭に、おじさんの鼻息が…
俺は翼の手を引いて、翼を引き寄せた。
「えっ、どーしたの?」
びっくりした顔で、俺を見上げている。
「えっとぉー…いや、ここなら平気かなって思って…」
「平気って何が?」
「いや、言わないけど…」
俺の目の前に翼を置いて、俺の胸に密着させたのだ。
おじさんすごい近かったんだもん。
……近かった?
近いと、なんなんだよ?
近いとムカつくのか…!?
翼といると、自分がわけわからんってなるし!