きいろい青空【完】
「久しぶりに見たなぁ…」
本当に、久しぶりだ。
俺は空を見るのも久しぶりだ。
ずっとずっと下を向いていたのかもしれない。
今年は、秋の空というものを見れなかった。
だから、この夕日を目に焼きつけておこうと思った。
翼と見た…
秋の夕日を----。
「直輝。右手、出して」
翼にそう言われ右手を差し出す。
「ハイ。誕生日、おめでとぉー!!」
俺の右手の薬指には、銀の指輪がキラキラしていた。
「うちとおそろだからね!」
翼は自分の右手の甲を見せた。
そこにもキラキラした指輪。
俺は思わず抱きついた。
「ありがとう」
「この指輪がね。いつか、左手にはめられたらいいなっ」
耳でささやく、遠回しの翼のプロポーズ。
本当にそう思っているの?
ごめんね。
ちょっと疑っているんだ…
翼の、すべて、を知っているから…