きいろい青空【完】
「やだなぁ~。うちの方が先に歳とっちゃうじゃん」
「しょうがないじゃん?」
もう、辺りは真っ暗になってしった夜道をふたりで歩く。
翼を家の前まで送った。
「今日はヤバイ楽しかった!!んじゃ、またね。おやすみ」
そう言って、おやすみのチュー。
「じゃあね。でも…離れたくないけどね…」
翼のまん丸の大きい目が俺を見つめてくる。
なんか…猫みたいだな。
「うん…」
そして、またキス。
「また、学校でね。おやすみ」
翼は寂しそうに家に入って行った。
俺は、とぼとぼと家路を歩いて帰る。
ガチャ。
「おかえり~」
父さんと母さんの声が迎えてくれた。
「ただいま」
ただ返事をして、着替えるために階段を上がる。
自分の部屋に入り見渡すと、カーテンが開いていた。
閉めようと窓に近寄ると見えてしまった…。
花恋の部屋。
家が隣で、部屋も隣で、窓も隣で…
幸せそうに颯さんに微笑んでいる花恋の姿が見える。
ふたりでケーキを食べている。
そっか…誕生日だもんな。
別れの危機も乗り越えたんだな。
俺はとっさにカーテンを閉めた。
なんで花恋と家が隣なの?
なんで花恋が幼なじみなの?
幼なじみって、本当は嫌なのかもしれない。
だって…だって近すぎる…
「花恋なんて……」
頭を抱えてうずくまる。
翼には無くて、花恋にはあるこの感情。
これは“好き”という感情。
さよならを言っても、口をきかなくても…
俺の中には花恋がいるんだ。
俺は、花恋を嫌いになれない運命にあるのだろうか…