きいろい青空【完】
ナースステーションに走って近寄り、訊いた。
「颯は?楠木颯はどこですかっ!?」
「楠木颯さんですね?えっと、3階の207号室です」
優しそうなおばさん看護師さんは、ゆっくりと答えてくれた。
「ありがとうございますっ!!」
また、走る。
1分でも1秒でも、早く颯に会いたくて。
「んもぉ!」
エレベーターを使おうとしたが、上に上がって行ってしまった。
階段を走るしかない!
今、100メートル走を測ったら、一番速いタイムが出るよ!
そんな事を思うほど、速く走れた。
走って走って走って3階の廊下に出た。
長い長い廊下を走る。
その時。
『ピッピッピッ…』
ドラマの中で聞いたことのある音が聞こえてきた。
心電図モニタという機械の音。
壁に記されている患者さんの名前から颯の名前を探しながら走る。
病室の番号が207号室に近づいてきた。
もうちょっとで、会えるよ!!
颯、もうちょっとで……
『 ピーッ… 』
え…
走っていた足が止まった。
この音って…
ううん、違うよ。
颯じゃないでしょ…?