きいろい青空【完】
俺は死というものを受け入れる勇気がない。
だめだ…
俺はそのまま後ずさり、廊下に置いてある長椅子に座った。
わからない。
頭を抱えた。
理解できない。
颯さんが…?
そんな…嘘だろっ!?
花恋をひとりにして、いく気なのかよ!!
なぁ………。
花恋の泣き叫ぶ声が聞こえる中。
俺の目から、静かに涙がこぼれた…
それから、どれくらいの時間が過ぎたかわからない。
外の空はうすい紫色に包まれている。
足音が聞こえ顔を上げると、花恋が出てきていた。
哀しいという言葉では足りない。
目は赤く腫れてしまっている。
その変わり果てた姿を、俺は見ていられなかった。
「花恋…」
そして、迷いなんか無く強く抱きしめた。
「だめだよ…直輝。颯が見てる…から」
か細い声で言うと、花恋は俺の胸から離れた。
目も合わさずに。
「ちょっと待ってて…。颯さんに、会ってくる…」
やっとの思いで立てている花恋を長椅子に座らせた。
ゆっくりゆっくり病室に近づき、ひとつ息を吐く。
勇気の一歩…
そして扉を開けた。